キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』 (講談社+α新書)

キリスト教は邪教です! 現代語訳『アンチクリスト』 (講談社+α新書)

まずは文句から。何が許せないって、装丁が許せない。
表紙の画像はどっからどうみても9.11テロで飛行機が突込んだ瞬間の世界貿易センタービルなわけです。
写真を載せること自体はまぁよいのですが、本文はもちろんのこと(19世紀に書かれてますから)、訳者によるまえがき、解説にいたるまでほとんどこのテロについては触れられていないのです。
つまりはマーケティングのために一番目をひく画像を持ってきたってことですな。しかも「キリスト教邪教です!」っていう題名でこの画像の組合せだと9.11テロはキリスト教に非があるように見えるよね…テロ肯定ですか?
この訳者がどの程度装丁に関わってるかは知らんけど、とにかくこの表紙をデザインしたやつの人格は疑ってしまうな。


でもって、本文はというとキリスト教に対する罵倒の嵐です。キリスト教に限らず何かをここまで罵倒した文章というのは、なかなかお目にかかることはないかもしれません。
しかも口語訳のせいか、おせじにもきれいな言葉遣いではないで生理的にダメっていう人もいそう。
本文で主張されているのは筋の通った正論からただの弱者差別までまさに玉石混淆といった感じなのですが、そのあまりにも偏執な語り口に読んでるこっちはドン引きです。


結論を書くとこの本を読むくらいなら、誰も教えてくれない聖書の読み方を読んだほうがいいです。
エスの教えとキリスト教会の教えはなんの関係もない、パウロがイエスの教えを曲げキリスト教会を作り上げたというところでは「キリスト教邪教です!」と一致していますし、なにより読んでて楽しいですしね。


それにしてもこの本、原文はどんな感じで書かれているのか気になります。訳者の勇み足なのか、それとも忠実な訳なのか…
#まぁ、解説に「超訳」ってあるからそれはない気がするけど