[本] 暗号解読

暗号解読(上) (新潮文庫)

暗号解読(上) (新潮文庫)

シーザー暗号から量子暗号に至るまでの暗号作成者とその解読者の戦いを描いた小説。

さすがid:sshiのおすすめだけあっておもしろい。あっという間に読了した。
いままであまりよくわかっていなかった量子暗号の概念などもわかりやすく説明されていて、なんとなくわかったような気分にさせられた(笑。

反面量子暗号の章では概念の説明に多くのページをさいてしまったせいでそれまでのようなドラマティックな展開に乏しかったのは残念。とはいえ歴史が浅くいまだ研究の最前線にある暗号なのでそもそもそういった話はまだ少ないのかもしれない。

あともう一点、これも仕方のないことなのだが暗号が複雑になるにつれ話が抽象的にならざるを得ず、具体的なイメージが描きにくくなっていくのも残念。DESの前身である金星暗号についてとか本文の説明だけで理解できる人って少ないのではないだろうか。


もう少し技術的なことが知りたいという人には結城さんの本がおすすめ。

暗号技術入門-秘密の国のアリス

暗号技術入門-秘密の国のアリス

量子暗号についてはほとんど触れられていないけど、DES以降の近代暗号(っていうのか?)についてわかりやすくかつ詳細に述べられており、暗号解読の副読本として最適。